年末調整をする会社員でも確定申告が必要になる不動産の売却や住宅ローン控除などのケースとは?
年末調整は、会社員やパートタイム労働者など給与所得者が行う基本的な税務手続きであり、給与所得に基づいて年間の所得税を計算し、過不足を調整する役割を果たします。
しかし、年末調整を受けていても、一定の条件に該当する場合には、別途確定申告が必要になることがあります。
特に、住宅ローン控除や退職金、不動産売却、譲渡所得があるなどの特定の状況では、確定申告が必要です。
会社員が住宅ローン控除を受ける場合
まず、会社員が住宅ローン控除を受ける場合についてです。
住宅ローン控除(正式には「住宅借入金等特別控除」)は、住宅ローンを利用してマイホームを取得した際に、一定の条件を満たせば所得税や住民税から控除を受けられる制度です。
この控除を受けるためには、住宅ローンを利用した初年度には必ず確定申告が必要です。
初年度には、物件購入時の契約書やローン残高証明書、住民票などの書類を添付して申告を行います。
2年目以降は勤務先の年末調整で控除が適用されるため、確定申告は不要となる場合が一般的です。
転職や勤務形態の変更により年末調整が行われない場合には、再び確定申告を行う必要が生じることもあります。
新築だけでなく、一定条件を満たす中古住宅の購入やリフォームでも適用される場合があります。
退職金に関して追加の確定申告は通常は不要です
退職金は原則として「退職所得」として扱われ、退職金を受け取る際に「退職所得の源泉徴収票」に基づいて税額が計算され、源泉徴収されます。
このため、通常は退職金に関して追加の確定申告は不要です。
しかし、退職金の金額や退職所得控除額に関する誤り、あるいは退職後に他の所得が発生した場合には、確定申告が必要になることがあります。
また、早期退職制度や特別退職金を受け取った場合には、その取り扱いが一般の退職金とは異なる場合があるため、確定申告を行うことで税額の適正化が図れるケースがあります。
失業保険についても確定申告の必要がありません
失業保険(正式には「雇用保険の失業給付」)は、非課税所得として扱われるため、所得税の対象外です。
したがって、失業保険を受給している場合でも、それ自体が原因で確定申告が必要になることはありません。
ただし、失業中にアルバイトや副業で収入を得た場合には、その所得が課税対象となり、確定申告が必要になる可能性があります。
不動産の売却は確定申告が必要となるケースが多い
不動産の売却を行った場合には、確定申告が必要となるケースが多いです。
不動産の売却によって生じる所得は「譲渡所得」に分類されます。
譲渡所得は、売却代金から取得費(購入時の価格や仲介手数料など)と譲渡費用(売却時の手数料や解体費用など)を差し引き、さらに特別控除が適用されることで算出されます。
不動産売却による所得がプラスになる場合、つまり利益が出た場合には、その金額に応じた税金を申告し納める必要があります。
一方で、不動産売却による損失が生じた場合でも、一定の条件を満たせば「損益通算」や「繰越控除」を適用して節税効果を得られるため、確定申告を行うメリットがあります。
特に、居住用財産を売却した場合には、3000万円の特別控除や軽減税率が適用される可能性があり、これらを利用するためには確定申告が必要です。
確定申告が必要になる譲渡所得とは?
確定申告が必要になるその他の譲渡所得としては、土地や建物だけでなく、株式や貴金属、美術品、ゴルフ会員権などの資産の売却が挙げられます。
これらの譲渡所得についても、売却による利益が一定額を超えた場合には、確定申告が必要です。
また、たとえ利益が出なかった場合でも、損失が税金計算に影響を与える可能性があるため、確定申告を行うことで節税の機会を逃さないことが重要です。
確定申告をした方が良いケースとは
確定申告をした方が良いケースもあります。
医療費が高額になった場合には「医療費控除」が適用されることがあり、これを申請するためには確定申告が必要です。
さらに、ふるさと納税で「ワンストップ特例制度」を利用しなかった場合も確定申告を通じて税額控除を申請することになります。
これらの状況では、確定申告を行うことで税金が還付される可能性があるため、申告を忘れないことが重要です。
特に、住宅ローン控除や医療費控除、ふるさと納税の控除は大きな節税効果が期待できるため、積極的に申告を行うべきです。
また、不動産売却や株式譲渡に関する所得についても、申告を怠ると追徴課税を受けるリスクがあるため、適切に手続きを進めることが求められます。
税金の負担を減らすには確定申告を税理士に依頼することも効果的です
確定申告が必要になるかどうかを判断する際には、収入や控除の内容、取引の詳細などを正確に把握することが大切です。
また、申告に必要な書類をあらかじめ整理し、必要に応じて税理士や専門家に相談することで、適正な手続きが可能となります。
特に不動産や株式など複雑なケースでは、専門家のアドバイスを受けることで、申告漏れや計算ミスを防ぎ、税金の負担を最小限に抑えることができるでしょう。
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